シゲ編 #1 /// site top / text index / ニセモノの恋 index |
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―――初恋は一生モノだなんて、大嘘だ。 ニセモノの恋 藤村成樹#1 初恋と不思議
藤村成樹は呟いた。彼の初恋は幼稚園の年少のころ、担当だった保母さんだ。残念ながら名前どころか、顔も覚えていない。次の恋は小学一年、クラスで一番髪の長い子。その次は三年、その後はまあ、色々あったからろくに覚えちゃいない。
「おい、そろそろ出るぞシゲ」
後頭部をぺしっと叩かれ、我に返る。
「スマンスマン」
シャツの裾を入れながら立ち上がった。紫のユニフォーム、背番号は十一。これからキックオフなのだ、うだうだと考え事をしている場合ではない。ここ、東京のスタジアムの更衣室は、試合前のモチベーションを高めているチームメイトで一杯だ。
頭のスイッチを切り替える。彼女に振られたぐらいでどうにかなるスイッチではないし、シゲは既にプロ入り7年目、プライベートで何があっても、パフォーマンスには影響しない。私生活と仕事は、綺麗に切り離せなくてはならない。
プロになるとは、そういうことだ。
「じゃー今日もぶちかましますか」
シゲは笑って、スタジアム入りする皆の背に続いた。
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